ALSの記録16

2025年03月25日 08:00
カテゴリ: 笑って生きるALS

夫の苦悩 ②

夫が聞く耳を持ってくれそうだったので
私ははっきり聞きました


貴方がもし
私たちと一緒にいるのがキツいなら
離婚してもいいんだよ

実家へ帰るなら
送るし

施設へ入るなら探してあげる


その代わり
離婚したら
私は2度と貴方とは会わない



貴方がもし
最期まで私たちと居たいというなら
私は最期まで
貴方のお世話をするよ


貴方は本音では
どうしたいの❓


夫は少し沈黙したあと


「一緒に居たい・・・けど」

と言いました


「けど」は要らないよ


「一緒に居たい」だけでいいんだよ


一緒に居ようよ最期まで
診断を受けたあの日から
私は最期まで
貴方のお世話を引き受けるつもりでいたよ


だから
一人で不安を抱えてないで
甘えてよ

迷惑をかけるなんで
思わないでよ


甘えてもいいだけ
貴方にはもう充分してもらったよ



仕事ばかり優先して
夫として
父親としては
いい家庭人ではなかったけれど


貴方個人は
私を自由に好きなことをさせてくれた


主婦なら
育児中の母なら
セーブしたり諦めた方がいいことも
貴方は自由にやらせてくれた


失敗したことも
成功したこともあるけれど


充分に好きに自由にさせてくれたから
私の結婚生活前半に
後悔や未練は一切ないの


だから
結婚生活の後半は
みんな貴方に使うので
いいの

今度は私に恩返しさせてよ

私にちゃんと甘えてよ

今のうちに甘えることを
覚えてよ


夫は黙って聞いていて
そして涙を流しました

そして その日の夜

お風呂に入るという夫に
「一緒に入って手伝おうか❓」
と声を掛けると

夫は
「お願いしようかな」
と言いました


頭や背中をゴシゴシしてあげると
「あ〜気持ちいいな〜」と喜んで

実は左手が動かなくなって
ずっと片手で洗っていたので
なかなか行き届かなくて
イライラしていたそうです


「お風呂はリラックスして
 気持ちよくなる場所だよ

 これからは毎日
 一緒に入ろうね」

と言うと夫は嬉しそうでした


これから
出来ないことがもっと増えてくるから
ムリして頑張って
体に負荷をかけるより

サポートして負荷を減らした方が
現存機能を維持出来ると思うから
甘えることや
頼ることも覚えてね


と言うと
「ありがとう」とだけ
言ってくれました


この日が
私たちが溝を少し埋めることが
できた日です

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