ある日
お風呂に入っていると
夫が ぽそっと
「お前を温泉一つ連れってやれなかったな」
とつぶやきました
私は元々
旅行好きでもないし
温泉好きでもないので
そこに不満はなかったのですが
仕事三昧で生きてきた夫には
妻孝行をしてこなかったという
自責が今更浮かんできたのかもしれません
その後悔を持ったまま
ALSが進行して
寝たきりになってしまったら
夫は生きているのが
辛くなるかもしれない
そう思い
私は娘に相談しました
パパの足がまだ歩ける間に
パパを旅行に連れて行きたい
ママ一人では
大変かもしれないから
一緒に行ってくれないか
と聞いたところ
娘は費用を半分出すから
いい旅館を選んであげて
と言ってくれました
色々探して
岐阜の旅館で
露天風呂付きのお部屋の予約を取り
予約の際には
夫が病で杖を付いていること
手が不自由なので
食事は小さくカットしてほしいことを
伝えました
こうして
準備を整えてから
夫に伝えて
まだ桜が咲く前の4月の高山へ
一泊旅行に行きました
この旅行が
夫が前を向くきっかけになりました